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※2020年10月15日に最新の情報へ更新しました。
普段は共働きの配偶者や(一度独立した)子どもたちに一時的に収入が無くなったとき、活用できるのが、「扶養制度」です。
「親を扶養に入れると税金を節約できる」という話を聞いたことがありますか?扶養家族がいると税金が控除される、そして扶養家族は被保険者の健康保険に入ることができるということは知られていますが、扶養家族には、自分の子供だけでなく、条件を満たしていれば親などの親族も含まれるというのをご存知でしょうか。
この記事では、親を扶養に入れるための条件や、そのメリット・デメリットについてお伝えしていきます。扶養制度を理解し、賢く活用することで、家計にとって心強い味方になります。
扶養とは、自分ひとりでは生計を営むことができない人に対し、主に家族が援助する仕組みのこと。未成年や高齢者、失業状態など、いくつかの定義があります。税金と健康保険では、扶養家族として認められる基準が異なります。
まずは税法上の扶養について。納税者からみて6親等以内の血族と3親等以内の姻族のうち、納税者と生計を一にしていて、かつ1年間の所得額の合計が38万円以下である人のことを扶養親族といいます。ただし、配偶者は扶養親族には当てはまりません。また、生計を一にしていれば、必ずしも同居している必要はありません。納税者は扶養の現況により、確定申告にて申請し、控除措置を受けことが出来ます。
一方で健康保険の扶養家族とは、配偶者や子、孫など3親等以内の親族で、かつ1年間の収入見込み額が130万円未満(60歳以上の場合は180万円未満)の人のことをいいます。配偶者、子、孫、兄弟姉妹、および父母(養父母)など直系尊属の場合は同居または別居のどちらでも扶養家族と認定されますが、それ以外の親族の場合は同居している場合のみ扶養家族として認められます。
税法上の扶養は家計のキャッシュフローを組み立てるのに必要です。扶養者が確定申告を必要とする個人事業主の場合は、税法上の扶養をどこまで認識しているかで所得税が変わってきます。一方の健康保険上の扶養は、扶養に入る方(被扶養者)から見て大切です。年収の上限を超え扶養から外れるとパートなどの「手取り」が大きく減ります。両方の場面における扶養を区分しておきましょう。
共働き夫婦の場合に子どもの扶養は、収入の多い方が対象となります。兄弟姉妹のように複数の子どもがいても、父母で分けて扶養対象とすることは認められません。
納税者に控除対象となる扶養親族がいる場合は、所得税、住民税の控除を受けることができます(扶養控除)。それぞれの控除額は下記の通りで、親の年齢や人数、同居の有無によって金額が異なります。
では、実際に税金はいくら減るのでしょうか。その金額は、上の表の控除額に所得税や住民税の税率をかけることで算出されます(所得税の税率は5%〜40%で、所得金額によって異なります)。一例として、税率20%の人が70歳以上の別居の親を扶養に入れた場合の節税額を算出してみましょう。
親が子の健康保険の扶養に入ると、親は国民健康保険料などを支払う必要がなくなります。なお、支払う健康保険料の金額は自身の給与・報酬の月額によって決まるので、扶養家族が増えたからといって健康保険料が高くなるという心配はありません。
※75歳以上の人は、健康保険ではなく後期高齢者医療制度に加入します。
最近は「人生100年」という本が流行ったこともあり、現役時代の仕事を定年後も継続して仕事に就く人も多いでしょう。ただ、今回記載した年収要件を超えると、親に税負担が生じ、扶養の受け手となっていた人も扶養による控除利用が出来なくなるというデメリットが生じます。扶養制度を上手に使うには、親の労働状況を共有していることが大切です。
健康保険には、1ヶ月の間に支払った医療費が自己負担限度額を超えた場合に、超えた金額分を払い戻してもらえる制度があります(高額療養費制度)。自己負担限度額は年齢と被保険者の所得によって決まり、被保険者の所得が多いほど自己負担限度額も高く設定されています。親を扶養に入れると被保険者は子になるため、自己負担限度額は子の所得額で決まります。つまり、親の所得が子より多い際には親自身が被保険者になっている場合よりも高額療養費の払戻金が少なくなってしまう場合もあります。
また、ドラッグストアで購入した商品のなかに、確定申告で控除の対象となるものもあります。購入したレシートに「セルフメディケーション税制対象」と記載してある場合は、レシートを残して保存しておくようにしましょう。
扶養においては、前年度の状況をそのまま継続する場合と、扶養への追加や解除による「前年度と状況が変わる場合」に分かれます。
前年度の扶養状況を継続する場合、主な手続きは10月-11月に会社に提出が求められる「年末調整」です。そのなかの「扶養控除等異動申告書」を提出し、現状の扶養状況がどうなっているかを報告します。会社員ではない人は、翌年2月ー3月の確定申告が扶養状況を国に報告するタイミングです。前年度の収入に合わせて、扶養状況を報告することで税額が変わってきます。
とはいえ、なかなか日常生活とは遠い扶養制度はわかりにくいもの。そのため、気軽に専門家に相談するようにしましょう。ファイナンシャルプランナー(FP)や、保険のスペシャリストのなかにも扶養制度に精通している人は多いです。
なかでも見落としがちなのが、行政の方です。まさに扶養制度の最前線で働いているため、最新状況も理解しています。親が扶養に入る入らないという場合は、親だけで対応するのではなく、扶養を受け入れる立場として息子・娘の方も一緒に行政折衝をすることをおすすめします。その時に親の住んでいる近くにFPなどの専門家を見つけ、随時相談する環境が整えば、とても心強いことです。
親を扶養に入れた場合のメリット・デメリットについてご紹介しました。親を扶養に入れると、税金や健康保険料が節約できるというメリットがありますが、1ヶ月に支払う医療費が高額である場合は、逆に損をしてしまう可能性があります。メリット・デメリットを理解したうえで、親とよく話し合ってから手続きをすることをおすすめします。
出典:国税庁ホームページ の情報をもとに作成
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