海外に出国するときに変わる税金「出国税」について

2020年01月14日・税金

目次

    2020年は東京オリンピックが開催されます。さまざまな国から観光客が日本を訪れていますが、今年は我々が「開催国ホスト」となり、世界中の人を迎える立場。一方で日本を発し、世界中さまざまな国へ赴く人も増えています。

    2019年の年末には驚きのニュースも入ってきました。出国のルールを破り、荷物のなかに入って外国への脱出を試みたという。年明けのメディアの話題を席巻しています。(不正)出国の理由はもとより、まるで鎖国中の江戸時代に外国に向かったような話が現代に起こることに唖然とします。

    さてここからが本題。

    出国するときは航空機代はもとより、空港使用料を支払うことになっていますが、2019年よりある税金がここに加算されています。それは「出国税」です。

    1.出国税とは?

    出国税は正しい名称を国際観光旅客税といいます。実は2019年1月から既に施行されており、海外に行く日本人や日本を訪れる外国人に対して1回につき1,000円が課税されています。「出国」という言葉なので日本を発する場合のみ?と誤解している人も多いのですが、出入国どちらも課税対象となるのが特徴です。そのため外国から日本を訪れる人のほか、日本から外国に向けて飛び立つ方もすべて対象になります。

    ただ、よほど注意深くニュースを見ていないと、出国税を支払っているという自覚はあまりないようです。「あれ、2019年に外国に行ったけれど、そんなの支払った覚えはないな」と振り返る人も多いでしょう。それもそのはず。出国税は、航空券や空港使用料に上乗せされて請求されています。外国への旅行はパッケージツアーの利用も多いなか、1,000円単位で旅費交通費を把握していないとなかなか気づかない課税です。まったく同じ条件で2018年以前に外国へ向かった場合と比べ、1人あたり1000円が航空機代(もしくは旅行パッケージ代金)に追加されているという計算です。

    2.出国税の目的

    出国税の目的は3つです。

    ①快適に旅行できる環境の整備

    政府は2020年の来日客目標を約4000万人、2030年の目標を約3000万人と設定しています。また日本国内を移動する旅行者も地方経済や観光業にとっては大きな顧客です。交通の利便性や名跡の紹介などはもちろんのこと、日本が誇るべきといわれる「清潔・安全」といった魅力も維持するにはお金がかかります。その部分に充当し、より観光客の方々に満足していただくのが出国税の目的のひとつです。

    ②我が国の多様な魅力に関する情報の入手の容易化

    最近こそ大都市や観光地にはさまざまな国の言葉が並ぶようになりましたが、それでも旅行するにあたっては得づらい情報がまだまだあるといわれます。まだ観光地化されていない街などに情報案内を進めることに出国税が充てられます。

    また、最近求められているのが地震など災害を始めとした緊急事態への対応です。突然の揺れが来てテレビで避難場所を指示されても、肝心の音声や避難場所が日本語のため迅速な動きが取れなかったという観光客の話も。観光客向けの情報ではなくても、それを観光客に「共有」することでより日本の滞在を安心するものに出来る整備にも、出国税のお金は使われていきます。

    ③地域固有の文化、自然等を活用した観光資源の整備等による体験滞在の満足度向上

    観光業は「見る」だけではなく、体験してもらうことにも価値があります。昔の人の生活や装束、生活などです。それら体験式の経験を増やす機会創出にも出国税は使われていきます。

    3.出国税の疑問

    ここまでは出国税の目的を教科書風に書き連ねてきましたが、そもそも目的通りに使うことは可能なのでしょうか。1人あたり1000円は僅かな金額とはいえ、家族4人で外国へ出立すると4,000円。日本への帰国時も徴収されるので×2で8,000円です。

    出国税は「国税」です。国税とは国の財源となる税金のことで、対象の言葉は地方税(地方自治体が受け取る税金)です。国の予算は国会の審議で定められますが(年明けにNHKで議論しているものです)、出国税が何に使われているのか、本当に上記の目的に使われているのかはまず報じられません。そもそもこれらの目的は地方自治体の仕事が多いのではないか、国税より地方税が相応しいのではないかという指摘も根強いようです。

    更に深堀りして考えると、観光客の向かい入れ体制の整備は国や地方自治体「のみ」の仕事ではなく、観光に関わる民間の仕事ではないだろうかという懸念もあります。対象の民間事業者にはもちろん出国税の財源が渡されることはなく(補助金などの制度があることはありますが)、本来は出国税収入の恩恵を受ける自分たちも、外国に出るときに一緒に出国税を支払っているのだけれど。。という本音も。

    これらの「詰めの甘さ」により、出国税に納得できないというアンケートの結果も多いようです。

    ほかにも肝心なポイントがあります。それは、「業務渡航も対象なのはなぜか」ということ。出国税は観光まわりの整備ですが、外国への渡航は業務用、いわゆるビジネスの利用が多いものでもあります。ビジネスの渡航から出国税という名目で税金を徴収して、観光の諸整備に使います、というのでは納得されるものではないでしょう。

    このあたりは出国税が導入されたばかりの税金という側面や、1回につき1,000円「程度」の税金という特徴から、積極的に議論されてはいないようです。毎日さまざまな議論が俎上にあがるなかで、おそらく「この1000円は本当に必要な1000円なのか」は詰められず、なんとなく支払うことが当たり前になっていくのではないでしょうか。

    4.税金の使い道はこれから。まずは卒業旅行やGWの旅行代への認識を

    おそらく、このまま通常にあるもの、外国に出入国する際に必要になる経費として、定着していく。ならば、まずは今年春に控える卒業旅行やそのあとのゴールデンウィークの旅行がどれくらいかかるかを考える際に、出国代分を加算するようにしましょう(仮に1000円単位で旅行費を管理している場合ですが)。

    「とはいえ1000円でしょ?」といわれそうですが、前述の通り家族が多いだけ出国税は必要となります。また生き帰りどちらの渡航も対象となるため、1万円弱の出費になる家族も。昼食1回分の出費にはなるため、認識しておくことが大切ですね。

    7月からはいよいよ東京オリンピック・パラリンピック。たくさんの五輪ファンが日本を訪れます。その一方で「混雑する東京よりも、外国に滞在しテレビで(五輪を)見たい」という声も多く、国外への旅行業界は予約混雑が開始しているとか。さまざまな形で、数十年振りの大イベントを迎えましょう。

    【この記事の著者】

    株式会社FP-MYS 工藤 崇

    株式会社FP-MYS 工藤 崇

    FP-MYS代表取締役社長CEO。1982年北海道生まれ。相続×Fintechプラットフォーム「レタプラ」開発・運営。資格学校勤務後不動産会社、建築会社を経て2015年FP事務所を設立。1年後の2016年7月に法人化。多数の執筆のほか、Fintech関連のセミナー講師実績を有する現役の独立型ファイナンシャルプランナー(FP)として活動中。スタートアップとしてシードラウンドまでの資金調達完了済み。拠点は東京都中央区茅場町。

    LettePla:http://letteplabiz.com/index.html

    当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等の行為はご遠慮ください。

    < PR >

    人気のマガジン

    新着マガジン

    < PR >

    個人資産管理の決定版アプリ、
    堂々登場!!

    Fortune Pocket お金に向き合えば、人生は変わる。Fortune Pocket 家計とライフプランを考えるアプリ
    Apple Storeからダウンロード Google Playで手に入れよう

    Android版アプリは旧デザインでのご提供となります。
    年内に新デザインにてリリース予定。

    トップへ