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いま何かの手続きで「年金手帳を持ってきてください」と聞かれたら、すぐに保管場所が思い浮かぶでしょうか。特に年金手帳が必要になるのは「転職時」です。バタバタのなかで、そもそも自宅になければ一大事です。その時に転職先の会社に「紛失してしまいました」とは、第一印象の面からも言いたくないもの。
最初のページを開くと、年金手帳が必要な4つの状況が記載されています。
○新たに厚生年金保険や国民年金に加入するとき
○氏名を変更したとき
○年金や一時金の請求をするとき
○年金や一時金についての相談を受けるとき
そのほか、国民年金・厚生年金双方の記録、年金受給の記録等の記載箇所があります。ただ筆者(38歳)も年金に継続加入しておりますが、改めて確認すると年金記録は真っ白です。随時、年金加入状況の記載を徹底しているというものではなく、あくまで年金加入の証明書という位置づけです。
この年金手帳ですが、筆者も「そういえば記載されていない」という認識のように、普段から中身を確認するものではありません。以前、年金未納が問題になってからは誕生日前に定期的な「ねんきん定期便」が来ることもあり、定期的に記載内容を確認する必要は無くなりました。年金未納の頃から「そういえば自分の年金加入状況どうだったかな」と、自発的に確認する風潮が高まった背景もあります。ただ、日常生活のなかで年金手帳そのものが必ず必要になる局面が「転職時」です。
転職先に赴いて「年金手帳を出してください」といわれた時、手元にない場合は会社が管理している可能性が高いです。その理由は、会社員として加入している「厚生年金制度」になります。この制度に加入する手続きを会社がするとき、国民年金に紐付いた「基礎年金番号」を使います。そのために会社に預けっぱなしになっている人が多いということです。
当然ながら、会社にとって「年金手帳を預からなくてはならない」という義務はありません。それどころか、最近は特に個人情報管理の世の中。基礎番号を転記し、年金手帳はすぐに返却する勤務先が多くなっています。
では年金手帳を紛失した際は、どこに問い合わせればいいのでしょうか。再発行までにどれくらいの時間がかかるのでしょうか。自宅に無く、(前)勤務先にも無かった場合の対応についてお伝えします。年金手帳は、いま自分がどの年金制度に属しているかによって変わります。
区役所・市役所・役場に赴き、「年金手帳再交付申請書」を記入し提出します。一部の機関では郵送の手続きも可能です。万が一発行後に旧来の年金手帳が見つかった際は、どちらか一方を保管しておけば問題ありません(基礎番号が同じの場合)。日本年金機構では「ねんきんダイヤル」を開設し、問い合わせを受け付けています。
なお、基礎年金番号が「99」で始まる場合、年金加入時やその後に円滑な手続きが終了しておらず、仮の発番のまま基礎番号が二重となっている可能性も(本来の番号があるまま仮番で手続き)あります。その旨を年金事務所に伝えましょう。
ねんきんダイヤル:0570-05-1165(ナビダイヤル)
※050で始まる電話からかける場合は03-6700-1165(東京の場合)
受付時間:
ねんきんダイヤルの詳しい情報は以下をご参照ください。
「事業所の所在地の」年金事務所に問い合わせましょう。この場合は居住地を離れ、事業所ごとに年金加入情報が管理されています。問い合わせを受けた年金事務所は加入状況の確認のうえ、年金手帳の再発行手続きに移ります。
問い合わせ先は②と同様です。配偶者の事業者ごとに管理されている年金情報に家族情報も記載されているため、その情報をもとに再発行手続きを進めます。問い合わせは家族であることの証明を求められますので、可能なら配偶者と2人で訪問することで問い合わせの時間が節約できるでしょう。
転職時に年金手帳の再発行が必要になった場合も、窓口は(前)勤務先です。ただ、なかなか問い合わせが難しい場合は前章の②として、直接年金事務所に問い合わせましょう。事務所によっては証明のために「社員証」や「名刺」などを必要とする場合がありますが、これらは退職手続きのなかで返却している可能性もあります。転職が決まったら、まずは「年金手帳の保管場所がわかっているかどうかを早めに確認する」ことが大切です。そのうえで仮に紛失していたら、後回しにせず早急に手続きを進めましょう。
ここで転職時の「年金手続き」についてまとめます。あたらしい勤務先が厚生年金に加入しているかどうかで、手続きは変わります。なお、本来は法人の事業者すべてと、従業員が常時5人以上いる個人の事業者は強制的に厚生年金制度に加入しなければならない、という決まりがあります(農林漁業や一部のサービス業を除く)。
・厚生年金あり→厚生年金あり
前勤務先が厚生年金に加入しており、あたらしい勤務先も加入している場合は、退職証明と年金手帳を(新勤務先に提出することで)年金移行が完了します。
・厚生年金あり→厚生年金なし
・厚生年金なし→厚生年金あり
前勤務先と新勤務先で厚生年金の加入状況が違う場合は、国民年金への移管か、国民年金「からの」移管手続きが必要になります。現状加入しているのが国民年金の場合は居住地最寄りの年金機構、現在は厚生年金に加入している事業所の場合はその会社の管轄事務所に問い合わせましょう。
・確定拠出年金の取扱い
確定拠出年金に加入している際の転職は、厚生年金にプラスした手続きが必要になります。
確定拠出年金は会社自体が加入する「企業型」と、個人が加入する「個人型」があります。前勤務先、新勤務先がどちらも企業型に加入している場合は勤務先への問い合わせで十分ですが、どちらかが企業型に加入していない場合は「企業型からの脱退手続き・加入手続き」が必要になります。手続きの時間もかかりますので、早めに勤務先に相談するようにしましょう。
転職と年金制度の関連をお伝えしました。「転職」は人によりけりですが、そう何回も手続きではありません。だからこそ普段は紛失していてもそれほど問題ない年金手帳がピックアップされることになります。問い合わせ先、再発行の手続きは明確に出ておりますので、迅速に進めることが大切です。
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