新聞記事だけの話ではない。家計×出生率とどう向き合っていく?

2020年03月05日・ライフプラン
新聞記事だけの話ではない。家計×出生率とどう向き合っていくか!

目次

    著しく下がる日本の出生率。最新の2019年に生まれた子どもの数(出生数)は86.4万人。1人の女性が一生涯に生む子どもの数(出生率)は最新の2018年で1.42と、過去最低を記録しました。30代や40代の現役世代の人たちにとっては、もちろん憂うべき社会問題ですが、いまいち当事者としてはピンと来ないのも事実ではないでしょうか。将来、自分が公的年金を貰える立場になったときに現役世代を担って貰うといわれても話が遠すぎるもの。ところがこの問題、新聞記事だけの話ではなく、普段の生活にとても関係あるものです。

    1.出生率の低下がもたらす「長期的な」家計への影響

    新聞記事だけの話ではない。家計×出生率とどう向き合っていくか!

    出生率の低下を長期的に見ると、家計に著しい影響をもたらします。代表的な制度が公的年金です。現在、公的年金は10年以上の納付歴がある人を対象に、65歳から給付を受け取ることが出来る仕組みです(希望より上下5年ずつ、繰り上げ・繰り下げ受給制度があります)。

    少子化のニュースが出ると「自分たちは年金を貰うことが出来なくなるのでは」という声が必ず生まれます。筆者の見解としては、毎月の年金給付が継続している以上、ある年度から「すみません、公的年金の原資はもう足りません」はあり得ないですし、許されるものではありません。ただ、あらたに20歳になった人がそれまでの親世代とは異なり、「財源に不安があるため受給は70歳から」となる可能性は十分にあると思います。もちろんその際はiDeCo(個人型確定拠出年金)などの代替方法を示されることとは思いますが、単独では老後の準備が難しくなることも多いでしょう。親の支援などを必要とする場合、家計にも大きな影響をもたらします。

    2.出生率の低下がもたらす「短期的な」家計への影響

    新聞記事だけの話ではない。家計×出生率とどう向き合っていくか!

    一方、短期的な影響はなんでしょうか。一見すると、目立った影響はないように思います。ただ、約92万人が生まれる一方で、同じく2019年の死亡数は137万6000人になる見通しです。

    20歳を過ぎると納税の義務の対象になります(厳密には消費税を支払っているという意味では、20歳前に税金を納めていますが)。国に納める税金と地方に納める税金がありますが、納税者が減ると税金を原資に動いている公共インフラに不安が出てきます。先ごろ、東京23区のある区長が、ふるさと納税で東京に税金が納付されなくなることを嘆いて、「いずれ道路整備やゴミ収集、治安維持などに影響が出てくる」という発言をしました。この発言から分かることは、出生率低下により納税額が低くなると、さまざまな生活インフラに影響が出てくるということです。国や地方自治体のさまざまな「仕組み」は、ここまでの出生率低下を予測していない、といわれています。

    3.出生率の低い理由と都道府県による差

    新聞記事だけの話ではない。家計×出生率とどう向き合っていくか!

    まさに日本が向き合っている出生率の問題。出生率が低い理由はなぜでしょうか。内閣府の資料を見ると、「非婚化・晩婚化・晩産化」が指摘されています。

    https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/future/sentaku/s3_1_2.html

    1970年代から20代女性の未婚率が上昇し、1980年代以降は30代女性の未婚化も上昇しました。合わせて同年代からは晩婚化、晩餐化により20代の出生率が大幅に下がり、30代以降も同様の動きをするようになりました。

    ただ、本当の原因はここではなく、「子どもを育てる余裕がない」世帯が増えたことだといわれています。内閣府の資料も「収入が低く、雇用が不安定な男性の未婚率が高いほか、非正規雇用や育児休業が利用できない職場で働く女性の未婚率が高いなど、経済的基盤、雇用・キャリアの将来の見通しや安定性が結婚に影響することから、デフレ下による低賃金の非正規雇用者の増加などは、未婚化を加速しているおそれがある。」と、はっきりと言及しています。実際に当該世代に話を聞くと、「(夫婦)ふたりだけでも生活が大変なのに、子どものことは考えられない」という意見を耳にします。

    また、懸念事項になるのが「教育費」です。教育費は子どもの誕生後すぐにかかるものではなく、一般的には小学校、中学校、高校と積み重なっていきます。高校に通うのが生まれてから18年後として、そのときにどんな生活をしているか予測するのは不可能です。さらに言うと、よく「教育費がかかる時期を見越して預貯金を貯めておくべき」とFP(筆者もそうですが。。。)は口を揃えますが、生活費や住宅購入費といった他の支出も負担になるなかで、教育費に特定した貯蓄をするのは不可能です。

    もちろん、国も指を加えて無策で眺めているわけではありません。1990年に出生率が1.57となり、少子化の問題が一気に顕在化しました。1994年には総合的な少子化対策である「エンゼルプラン」がまとめられ、2003年には少子化社会対策基本法が制定されました。ただ全体的に見ると高齢化社会対策に比べて遅れは否めない一方で、ある国際調査では「日本は子供を産み育てやすい国か」との問いに4割以上が「そう思わない」と言ったとする統計もあります。これは外国諸国と比較しても低い割合のようです。

    4.出生率が増える環境づくりも大切

    新聞記事だけの話ではない。家計×出生率とどう向き合っていくか!

    正直なところを書くと、筆者は結婚10年目を超えていながら子どもがいません。かつ筆者の家族は同じく子どもがいないながらも(当然ですが)、勤め先で少子化対策の仕事をしています。これから言えることは、少子化がこのまま進行してインフラなどに影響が出てくる前に、出生率が増える環境づくりが大切ということです。保育園の整備や国の助成制度はもちろんのこと、育児中で働いている両親がいかに仕事と育児の両立をしやすいように協力していくことが大切です。いまだに子どもをベビーカーに乗せて電車に乗ると舌打ちをされたり、小言を言われたりするという話を聞きます。もちろん子どもはモノではありませんが、自分たちの将来の生活インフラを自ら否定している姿には違和感を覚えることもあります。国や自治体の対策が進んでいない!と気炎を上げることばかりではなく、各自が出来ることを進めることも大切といえます。

    タイトルにある「家計×出生率」の関係性について。少子化はいっけん家計管理とは距離があります。ライフプランの視点から見ても、子どものいない人にはどこか離れた問題と位置づけている人が多いのではないでしょうか。今回の分析のように、実は将来的な「生活リスク」とは切ってもきれない問題です。長期的な視点と短期的な視点、そして環境づくりにそれぞれの立場で、少子化問題と向き合っていきましょう。

    【この記事の著者】

    株式会社FP-MYS 工藤 崇

    株式会社FP-MYS 工藤 崇

    FP-MYS代表取締役社長CEO。1982年北海道生まれ。相続×Fintechプラットフォーム「レタプラ」開発・運営。資格学校勤務後不動産会社、建築会社を経て2015年FP事務所を設立。1年後の2016年7月に法人化。多数の執筆のほか、Fintech関連のセミナー講師実績を有する現役の独立型ファイナンシャルプランナー(FP)として活動中。スタートアップとしてシードラウンドまでの資金調達完了済み。拠点は東京都中央区茅場町。

    LettePla:https://letteplabiz.com/

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