「早期退職制度」は活用すべき?第二のライフプランを見直す手段に

2020年02月13日・ライフプラン
「早期退職制度」は活用すべき?第二のライフプランを見直す手段に

目次

    今回は早期退職制度について。メディアでは企業の人員削減や業績悪化の対策としてネガティブに伝えられるものです。確かにいまの会社勤め中心の生活は様変わりし、次の収入源を探さなくてもいけないのですが、それはライフプランを見直すにあたり「荒療治」となることも。早期退職制度をもとに、第二のライフプランを考えてみましょう。

    1.早期退職制度とは

    「早期退職制度」は活用すべき?第二のライフプランを見直す手段に

    当然ですが企業は社員に対し、毎月の給与を支払っています。その支払い原資の先行きが見通せなくなると雇用は継続できず、止む無く「リストラ」を行うことがあります。早期退職制度はよく誤解され、リストラの一環と思われがちですが、その実情は異なります。

    ある会社をA社としましょう。創業30年のA社は、社員を順調に雇用できた年代も、そうではない年代もありました。現在の社員を世代別で見ると、20代・30代が100人であるのに対し、40代は300人、50代・60代は200人と、アンバランスさの際立つ状況となっています。最近の主力商品は若者向けのサービスのため、もっと若い人のアンテナを活用して、会社の業績を更に伸ばしていきたい。これが経営陣の考えていることです。

    ここで活用されるのが早期退職制度です。会社が今後20代・30代の育成に力を入れていくとしても、40代以降に比べて人数が少ない。そこで40代の社員一定数に退職して貰い、その人件費を若手の新規採用、特に新卒採用に回す。いわば会社の「やり繰り」の具体的な方法です。いわば会社の人材の再構築といえ、業績が良い会社でも早期退職制度を行うことが数多くあります。

    最近はテクノロジーの発展により新たな側面も増えてきました。現在企業では各業務のアウトソーシング化が著しく進んでいます。広報やマーケティング、開発人材を委託することもあります。その方が変化する世の中のニーズに対応できるという考え方です。外部の会社や人材を起用する場合もあれば、人工知能(AI)を活用することも。そのときに比例して人件費を抑制するために、早期退職制度を活用するという考え方です。

    2.早期退職制度は会社都合扱い

    「早期退職制度」は活用すべき?第二のライフプランを見直す手段に

    現在の日本の法制化では、特定の社員を指名して解雇通告をすることができません。そこで、「40代の社員を早期退職として募集」と不特定の形にし、退職金を通常より上積みすることで応募を促します。上積みの金額は会社業績や経営陣の判断にもよりますが、通常は2-3倍、会社によっては5倍というケースもあるようです。また会社によっては再就職の斡旋を制度のなかに含めているところもあります。

    そして注目すべき点は、雇用保険において早期退職制度は「会社都合扱い」となること。これは早期退職制度の利用者にとってとても有難いもの。失業保険の受取りまで待機期間のない「特定受給資格者」の対象となります。時間があるため、さまざまな準備が可能となります。会社都合なら。。と制度利用を決断する人も多いようです。

    価値観の多様化にともない、「一生この会社で過ごす」とは思わない会社員も増えています。また国や自治体が独立起業を進める昨今、思い切って自分の会社を造るという人材も増えてきました。早期退職制度(の退職金)は、そんな自由な価値観を後押しする「きっかけ」としての役割を持っています。

    3.早期退職制度を荒療治に、第二のライフプランを考える

    「早期退職制度」は活用すべき?第二のライフプランを見直す手段に

    とはいえ、毎月振り込まれている給料が無くなるのは大事です。特に家族に対しては不安にさせてしまうという気持もあります。とはいえ早期退職制度をきっかけとして、自分の人生に新たな潮流を生み出したいという考えも立派です。当面は退職金でしのげるはず。。。このときに、第二のライフプランはどのように考えればいいのでしょうか。

    ①次の収入安定まで、退職金は月額給与の先払い

    標題の通り、次に収入安定するまでに受け取った退職金は、月額給与を先払いで受け取っただけという考え方が大切。あいだを置かず次の勤務先で会社員となる(すぐに収入が安定する)場合は別ですが、独立起業の場合は収入が安定するまでに暫く時間がかかることも多いです。退職金を別口座に保管し、毎月取り崩す、いわば老後資金の運用のような方法をお勧めします。先述した通り雇用保険においては優遇されるため、その補助もライフプランの先行きに組み込んでいきましょう。

    もうひとつ言えるのは、現職に比べて年収が著しく「落ちる」場合。第二のライフプランとして転職を決断したとしても、なかなか家族の理解を得ることは難しいです。そこで新職場の給与にプラスして差額となった分を退職金から補填して、家族に渡す。このようにして理解を得ている人も多いようです。

    ②「10年後」にどちらの道が合っているのかを予測する

    現在の会社が若手育成に舵を切るといっても、自分たちにも数多くの仕事があります。育成の担う教師役も自分たちの世代でしょう。とはいえ新たな道を進むことは、冒険心を強く掻き立てます。果たしてどちらのライフプランが合っているのだろうか。

    残念ながら、それは誰にも正解を言い当てることが出来ません。早期退職制度をきっかけとして独立起業、そして転職した人には、「あの時勇気を出して決断して良かった」という人と、表には出しませんが「もとの会社に残っていれば良かった」という人がいます。それは早期退職制度に応募しなかったものの、同僚が起業して輝いている姿を見て、「自分もああなっていたのかな」という羨望の念もあるでしょう。

    その選択の基準は人それぞれですが、ひとつお勧めなのは「10年後にどちらの道が合っているのかを予測する」ということ。もちろんビジネスモデルとして、これからの社会にとってどちらの収益性が高いかという視点です。

    ただ、この意味はもう一つあります。それは、「自分自身が10年後、どちらが笑っていられそうか」ということ。早期退職制度は荒療治のため、どうしても向こう1年の浮き沈みを判断軸としてしまいます。ただ賃金面も、家族の理解も、独立起業したときの最初の停滞期間も、10年経てば大きく様変わりしているはず。普段の会社員生活において、10年後を想定するという機会はなかなかありません。早期退職制度は荒療治ながら、その貴重な機会を与えてくれる場です。もちろん熟考のすえ、今の会社に残る。その方が自分にとって10年後笑っていられるはずだという決断も立派であり、尊重すべきものです。

    今後、会社勤めが更に多様化するにあたり、早期退職制度も比例して注目されていくことでしょう。リストラの一種といった誤解も、次第に無くなっていくと考えられます。ライフプラン構築の良い機会として、向き合っていきたいものです。

    【この記事の著者】

    株式会社FP-MYS 工藤 崇

    株式会社FP-MYS 工藤 崇

    FP-MYS代表取締役社長CEO。1982年北海道生まれ。相続×Fintechプラットフォーム「レタプラ」開発・運営。資格学校勤務後不動産会社、建築会社を経て2015年FP事務所を設立。1年後の2016年7月に法人化。多数の執筆のほか、Fintech関連のセミナー講師実績を有する現役の独立型ファイナンシャルプランナー(FP)として活動中。スタートアップとしてシードラウンドまでの資金調達完了済み。拠点は東京都中央区茅場町。

    LettePla:http://letteplabiz.com/index.html

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