ライフプランと個人資産の管理アプリ・フォーチュンポケット
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「家計簿アプリ」という言葉がすっかり市民権を得ました。インターネットが日常生活に不可欠なものになるタイミングと、毎月のやり繰りをしなければという家計管理のニーズが上手く合わさったといえるでしょう。多くの家計簿アプリは自分で収入を得る「社会人以後」の利用を想定していますが、最近は学生時代からお小遣い管理の代わりにアプリを活用している人も。
これまで学生にこの家計管理という言葉は馴染みが薄く、社会人デビューをして自分で報酬を得るようになってはじめて、その大切さが分かったという声も多くありました。最近は学生のうちから家計簿アプリを使って支出管理をしているという人の話をよく聞きます。学生時代から社会人になるにあたっての社会人デビュー。すっかり家計簿アプリに使い慣れた人の考える、家計管理で意識したいこととは何でしょうか。
まず、社会人になるときの家計の変化は、「住」が変わるか否かによってアドバイスが異なります。つまり、引き続き実家に住むかどうかです。
実家を出てあたらしく独り暮らしを始める場合は、今まで見えていなかった支出に気を配る必要があります。「そうは言っても学生時代、アルバイト代から外食していたしその延長では?」と感じる人も多いでしょう。何回かに1回の食費を認識していた場合と、3食×31日の食費代の認識は変わります。学生時代と比べて飲み会や交際費も増えてくるでしょう。
住が変わるといっても住居費(地代家賃)は毎月変わらず、その金額が見えています(これを固定費支出といいます)。一方で食費や交際費は使えば使うほど金額が上昇する変動費支出。なんとなく節約しようという姿勢では、給料前に厳しい家計になることは、独り暮らしを始めた諸先輩が身をもって示してくれています。どれくらい食費が必要となっているのかを、まずは数字で認識することが大切です。
また意外に見逃せないのは水道・光熱費など食費「まわり」の支出。毎月の金額は微妙に異なりますが、独り暮らしだと何万円も変わるものではいでしょう。変動費よりも固定費支出として把握しておきましょう。この金額はまさに実家暮らしでは見えていなかったもの。同様のものに家具家電への出費や、インターネット関連費なども含まれます。
一方引き続き実家に住む場合は、これらの食費や交際費に気を揉む必要はありません。社会人になったことで実家にお金を入れ始める人もいると思いますが、食費や交際費の実費よりも「月あたり数万円」と固定額の方が多いでしょう。ただ、いずれ訪れる時のために、可能な限り独立家計の準備は進めておきたいものです。実家に入れるお金を抜いて、支出からも食費や交際費など実質実家から出ているものを抜いて、収入と支出を明示化する。学生時代から家計簿アプリに入力をしていた人も、あらためて社会人となった家計顕在化のトレーニングをすることは、とても大切です。
社会人になって安定した収入を得られると、身につけて欲しいのがクレジットカードの管理です。収入額が月によって不確定だったときはクレジットカードを使うときにも「大丈夫かな」という怖さがあっても、毎月給料を貰えるようになったら心は変わっていくもの。クレジットカードはあくまで(支払)義務の繰り延べということを意識しましょう。
具体的には、2020年1月の収入では3万円が不足し、クレジットカードで支払ったとします。この支払をするのはカード会社の規則で2020年2月です。もちろん2月には1月と同じように支払が必要となる固定費と変動費があり、前月の3万円はそれらにプラスして上乗せでかかるお金という立ち位置です。
ところが飲み会などをクレジットカードで(その場しのぎで)支払う人にFPとして話を聞くと、「1月の現時点では支払余力はないけれど、2月になればどうにかなるかと思うからクレジットカードで支払う」という人が思いのほか多い。そのため押し出された2月の本来の支払は3月になり4月になりと後ろに移っていき、現時点での負債が繰り延べられる方法は手軽なため、金額も大きくなってしまいます。キャッシュレスの世の中が到来しても日本にデビットカード(現時点の銀行口座から支払をするカード)があまり浸透しないのは、クレジットカードの持つ「繰り延べ感」が評価されている証明ではないでしょうか。だからこそ、クレジットカードの管理、使うときの「本当にこの金額を使っていいのかな」と一歩立ち止まる感覚、そして使用履歴を随時確認すること、これらを意識していきましょう。家計簿アプリを使う習慣があれば、この管理も上手く身につけていけるはずです。
最近はこの考え方にキャッシュレスも含まれます。〇〇Payにお金を入れていても、実際に使う機会はそれほど多くなく、財布とは別に流動性の低いお金が溜まってしまっているという人も。クレジットカードと異なり債務ではないですが、〇〇Payに大きなお金を入れて、普段の生活家計に余裕がなくなっては本末転倒です。合わせて顕在化をすることが大切です。
ここで気をつけたいのがカード会社が推奨している「リボ払い・クレジット払い」です。カード会社各社が推奨しており、ちょっと今月(返済の)余裕がないなという時に、新しい支払の方法があるのかと知った人も多いのではないでしょうか。確かに現時点で一括払いできない買い物を分割するのは、社会人として家計管理の選択肢が増えた!という感覚になるでしょう。一方でこれらの支払方法は、カード会社に高額の手数料を支払います。
最近のカード会社の案内を見ていると、リボ払いをしたらポイント加算や特典の付与など、ポジティブな印象を与えるよう苦心しているように思います。筆者はFPとして「絶対に使ってはいけないもの」という意見は持っていないのですが、リスクの説明が不足しているのでは、と感じる場面も多くあります。社会人になったときのクレジットカードの使い方として、気軽にリボ払い・分割払いを使い過ぎないようにしましょう。また使った場合は、毎月の支払額が(手数料も含めて)どれくらいなのかを把握すること。家計簿アプリの利用が習慣づいていると、このあたりの抵抗感はないと思います。
「家計簿」という習慣は昔からありますが、斬新なアプリの提供によって、家計管理はスマートフォンを活用した、とても便利なものに変わっています。学生時代の使い方と変わったところを認識して、社会人デビュー以降も上手に活用していきましょう。
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