子どもを育てるライフプランの最初の壁?保活の現状と向き合い方

2019年12月24日・ライフプラン

ライフプランをつくる重要性が浸透してくると、結婚して子どもを授かった夫婦が、出産後の(女性の)職場復帰をいつにするか?と具体的に考える事例が増えてきました。男性も働いている共働き夫婦の場合、ここで避けて通れないのが保育園への入学を考える「保活」です。

1.保活の何が問題なのか

保活とは、子どもを保育園や幼稚園に入園させるための活動を指します。現在の日本は少子化なので、一見すると入園はさほど難しくないように見受けられますが、現実は正反対です。ニュースを見ていて「待機児童」という言葉を聞いたことがあると思います。これは特定の地域、特に都市部において、保育園の受け入れ人数を入園希望者が超過する状況のこと。自身の子どもが待機児童になることで、親の職場復帰が遅れたり、希望する保育園以外に入園したりすることで様々なデメリットが生じます。厳密にいうと保活と待機児童問題は異なりますが、本記事では保活の問題点を考えているため、イコールの言葉として認識していきましょう。

よく待機児童のニュースを表面的に触れて、「だったら幼稚園に通えばいいじゃない」「子どもと一緒に過ごした方がいいじゃない」という意見もありますが、幼稚園は保育園に比べて預り時間が短く、仕事との両立は難しいもの。ましてや仕事復帰を遅らせて育児休暇を伸ばすと、その分の収入が減るため家計に影響します。子どもは小さいうちはあまりお金がかかりませんが、いずれ到来する教育費や住宅購入費を考えると、1カ月でも早く共働き体制に戻しておきたい、という家庭も多いでしょう。かつ女性の社会進出という観点から見ても、待機児童問題は大きな阻害要因となっています。

保活の問題点は、大きく分けて以下の3つです。

①認可保育園に入園できない

現在の保育園制度は、国が一定の基準を設けて認可した認可保育園。認可保育園に準じて東京都など各都道府県が認めた認証保育園、そして国・都道府県の認可を受けていない認可外保育園に分かれます。認可保育園は補助金を受け取っているため、認可外に比べて入園料が低く、子どもを持つ家計を圧迫するという側面があります。

②生活圏以外の保育園にしか入園できない

自宅の近くに認可・認証保育園がなく、鉄道を使って2-3駅離れた保育園に通っているというケース。毎日の送り迎えが大変です。それが両親どちらかの職場に近ければいいのですが、仮に正反対となると、時間的にも体力的にも余裕が無くなってしまいます。

③保活のために転居・実家帰省を余儀なくされる

生活圏において入園できない家庭のなかには、待機児童問題が深刻ではない地域に転居をしたり、父親・母親いずれかの故郷に転居をしたりするケースもあります。また、どちらかの祖父母を招いて育児をして貰うケースも。いずれにしても家計に余裕をもたせるための共働きが、待機児童の状況によって目算が狂ってしまう。子どもを育てるライフプランにおいて、大きな壁となっているのが現実です。

2.なぜ都市部では保育園は次々と新設されないのか

少子化対策は国も声高に叫んでいるはずなのに、なぜ待機児童の多い地域において保育園、特に認可保育園は次々と新設されないのでしょうか。おおむね、次のような理由があるといわれています。

①少子化のため、長期的な資本投下が難しい

数年間は待機児童の問題が深刻なものの、いったん解決すると保育園の経営にとってはマイナスになる、そう考えている事業者が多いといわれています。行政の発表する待機児童数もゼロになった翌年に大幅に増えたりと、なかなか市場として掴みづらいのは事実。保育園の事業主体となれるのは社会福祉法人ですが、最近は株式会社としての運営実績や、これからの日本においてニーズの高い高齢者施設との併用で新設するなど、解決への動きは一歩ずつ進んでいます。

②建設地周辺の反対運動

保育園を建設すると子どもたちの賑やかな声が町中に響き渡ります。これを次世代を担う声と捉える一方で、日常を脅かす「騒音」と捉える人も一定数います。実際に保育園の建設が告知されると、建設費周辺で反対運動が起こったという事例も。保育園は駅前やロードサイドの郊外よりも、住宅地内での建設に適性があることも理由のようです。また、保育園の建設によって送り迎えの車が周辺に多くなり、路上駐車が増えるという懸念も叫ばれています。筆者としては、路上駐車の懸念はわからなくはないものの、やはり子どもを育てる保育園が騒音と見られることは、強い違和感を覚えます。

3.保活を円滑に進めるためには「早い準備」が大切

その環境のなかで保活を向き合うには、早い準備が不可欠です。まずは子どもが生まれる前にすべきこと。それは今住んでいる街の、保活状況のチェックです。

結婚して新たに住まいを定める場合も、夫婦どちらかの住まいに住む場合もあるでしょう。その地域の待機児童がどれくらいなのか。現時点の待機児童は解決されていても、以前はどのような数字だったのか。後者は、自分自身が保活をする数年以内のスパンで状況が舞い戻る可能性を考えます。止むを得ず居住地域内の保活状況に懸念がある場合は、自宅から職場への通勤時の待機児童はどうなのかを把握しておくこと。

家計管理も重要な項目です。保活は認可か無認可かによって、家計に与える影響も異なります。早めに現時点のライフプランを見定め、認可ではなければいけないのか、状況によっては無認可も許容できるのかを考えること。認可を目指し、結果無認可になったから家計が回らないという状況よりも、計画性を有することができます。もちろん認可・無認可は保育料だけではなく、預け入れ環境なども異なってきますので、家計への影響にプラスをして考えること。

最近は保育園だけではなく、ベビーシッター等のサービスも少しずつ浸透してきました。また保育園を終えると、学童保育の状況といった新たな環境になります。学童保育の受け入れ状況は保活の状況と同一の場合もありますが、地域によっては保活は問題なくても学童になるととたんに状況が変わるという場合も。

たとえば2人兄弟で、下の子の保活の状況を確認している一方で上の子の学童状況を見落としていたケースや、住宅を購入して10年以上のスパンでその地域の保活・学童状況を確認しなければいけない場合など。多角的に考えていくようにしましょう。

子どもは夫婦にとって「かすがい」であり宝物。それは今も昔も変わりません。だからこそ保活という現代事に悩まされて、ライフプランの大きな壁となるのはとても残念です。住まいの保活状況を把握し、早め早めの現状把握と準備で乗り越えていくようにしたいですね。

【この記事の著者】

株式会社FP-MYS 工藤 崇

株式会社FP-MYS 工藤 崇

FP-MYS代表取締役社長CEO。1982年北海道生まれ。相続×Fintechプラットフォーム「レタプラ」開発・運営。資格学校勤務後不動産会社、建築会社を経て2015年FP事務所を設立。1年後の2016年7月に法人化。多数の執筆のほか、Fintech関連のセミナー講師実績を有する現役の独立型ファイナンシャルプランナー(FP)として活動中。スタートアップとしてシードラウンドまでの資金調達完了済み。拠点は東京都中央区茅場町。

LettePla:http://letteplabiz.com/index.html

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