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2020年は教育の世界にとっても、予想しえなかった緊急事態となりました。春になり孫からランドセルの写真を送って貰ったのも束の間、誰も予想できなかった「日本全国一斉休校」。孫のことが可哀そうで、何かしてあげたいという祖父母の皆様も多いのではないでしょうか。そのときにお勧めなのが、孫が自宅でインターネットを使って学習する「オンライン教育」の支援です。そして、その時にとても役立つ制度があります。
毎朝学校へ通い、夕方まで友だちと学び触れ合う毎日。私たちにとって当たり前過ぎることが、いま新型コロナウイルス感染拡大によって奪われています。一方でインターネットの世の中では、せめて勉学の機会をと、インターネットを使って学習機会が提供され始めています。この配信は学校からの場合もあれば、代替として学習塾や個別指導の会社からの場合もあります。また個人の家庭教師などはYouTubeなどのツールを使い、授業を提供しています(有償・無償いずれもあります)。
本来は学校生活の代替なので、オンライン教育のためのパソコンが配給されるべきです。ただ、一斉休校に学校側も、また本来これを司るべき教育委員会や文部科学省側も混乱しており、支援が進んでいません。パソコンを購入してもインターネット環境(Wi-Fiなど)のために追加費用がかかったり、孫が複数の場合はそれが人数分必要になったりするなど家計にとって著しい負担になっています。
そこで、祖父母から孫たちのためにお金を提供し、オンライン教育にかかる経費をサポートするという家庭も増えてきているでしょう。希望的観測に反して、コロナ感染は長期化の一途を辿っています。緊急事態宣言が解除されたら学校の日常が戻るとも言い切れません。来週まで待てば、今月末まで待てば日常に戻るものでもない以上、オンライン教育の環境整備は必要な出費です。その時に使える制度として、教育資金贈与が再注目されています。
「再注目」というだけに、この制度は以前からあるものです。これまで学校の入学金や授業料、学習塾の授業料が対象になると耳にした人も多いでしょう。平成25年に開始され、当初は何度か法律としての効果切れを迎えてきたものの都度延長され、現在は令和3年(2021年)3月31日までが対象期間となっています。
この期間内に祖父母から孫に「教育費としての利用を目的とした」贈与が行われると、1500万円までは贈与税がかからず、非課税となります。つまり税金の負担がなく、孫に対し教育資金を提供することが出来ます。
この制度のポイントを押さえていきましょう。
<オンライン教育に教育資金贈与を使うときの主なポイント>
オンライン教育はここ数カ月で一気に市民権を得ているものです。まだ制度や適用対象として確立していないものがあるので、利用する際は都度確認するようにしましょう。わからない点は金融機関や税理士のほか、直接文部科学省に問い合わせをする方法もあります。
ここまでお伝えしたとおり、オンライン教育にかかわる備品購入など一時的な支出(イニシャルコスト)を補完するのに教育資金贈与はとても使い勝手のいいものです。教育の現場における非常事態には地域差もありますが、まだまだ長期化する可能性もあるこの情勢、早めに利用することをお勧めします。
ただ、教育資金贈与を使うにあたっては、ひとつ注意点があります。それは資金の「限界」を知ることです。
孫の教育資金を負担するため、現時点は祖父母側にも当面の資金余裕があります。しかしながら、それにも限界があるということを十分に理解しておく必要があるでしょう。特に孫が兄弟など複数いる場合には、資金も人数分必要になるということを予め想定しておき、計画的に教育資金贈与を検討する必要があります。
「限界」を知るためには何よりも、「早期」に「家族間」で話し合っておくことです。祖父母が教育費として贈与できるお金はどれくらいを予定しているかを家族間で共有しておくと、後々トラブルになることを避けられます。お金の問題は、仮に親が亡くなってからも何年何十年続くことがあります。そしてそれは、どの親も決して望んではいなかったもの。いまの状況を解決する眼と、何十年後を見る眼を同時に持ち、贈与制度を活用していくようにしましょう。
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