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「銀行」と一言に言っても様々な種類があります。全国規模のメガバンクから、1つの都道府県や都市に即した地方銀行、街角で見かける信用金庫・信用組合まで。そのなかで今回は「地方銀行(地銀)」について考えてみましょう。
地方銀行は都道府県に拠点を置き、多くの場合その都道府県庁所在地(もしくは最大都市)に本店を置いています。同じ銀行でも、メガバンクや信金信組とはいくつかの違いがあります。
最大の違いは担当者の「転勤」です。相性が合い、家計について様々な相談をしていた担当者が転勤してしまう可能性がメガバンクにはあります。同一都市の別支店や近隣であれば遠出をするだけで継続した相談が出来るのですが、遠く離れてしまう可能性も否定できません。
日常生活にとって銀行はライフイベントのスタートのみならず、継続して相談できる場所です。たとえば住宅ローンを借りるとき、自宅近くの地銀で丁寧な説明を受け、金利が落ち着いているので35年の固定金利を借りたとしましょう。ところが10年経過し、更に金利が下がってきた状況のなかで銀行に連絡すると、担当者は既に変わり後任担当者と人間関係をイチから築かなければならない場合も。その時に込み入った借り換えや家計相談が出来ないという難点があります。
一方で信金信組との違いはなんでしょうか。①と逆説的ですが、「地元に拘り過ぎていないこと」です。信金信組は地元への密着を第一としていることに対し、地銀は地元への密着と併せて「横のつながり」を強化しています。地銀同士で持ち株会社を組む事例も増えてきました。地銀同士の連携や情報共有などが活発に行われており、地銀の利用者にもメリットが共有されます。同一地銀のなかで証券会社を持つ会社もあります。ライフイベントのなかで資産形成の必要性が生じた際に、的確な斡旋を受けることが可能です。
個人の生活では、たとえば同じ県内で住宅を購入しようと思ったとき。同一県内に幅広くネットワークを張っている地銀ならば、「AとBの住宅相場の違い」を想定的に比較説明することが出来ます。これは教育費など他のテーマについても同様です。ライフイベントごとに地銀をどのように活用すべきか、次項で見ていきましょう。
ライフイベントは頼れる相談者がいるといないでは大違い。都度、地元に精通した地銀に、気軽に相談しましょう。
住宅購入は人生最大の買い物です。自分の貯金や収入ならばいくらぐらいの物件がいいのか、悩みます。加え「住宅ローン」は固定金利がいいのか、それとも変動金利がいいのかという難しい判断もあります。
地銀は地元の不動産情勢に通じています。この街ならどれくらいの不動産価格が適正か、アドバイスを受けることができるでしょう。かつ、金利の判断もアドバイスしてくれます。地元に即しているので、住宅ローンの返済を続けたあとの「借り換えのタイミング」を同じ担当者に相談することも容易いです。
もうひとつ、地銀に相談すべきなのは「教育費」です。インターネットを見れば公立と私立の教育費の違いなどはわかるものの、実際に自分の住む街の教育費相場はなかなか情報が集めづらいもの。また教育費が足りないときの学資保険や教育ローンに関しても銀行が窓口のため、ワンストップで相談することができます。
子育ての現場では子どもを同じ学校に通わせる「パパママ友達」も強い味方ですが、子どもが大きくなってくると公立私立の違いや、(子どもが希望する)学校の偏差値や学費の違いなど、センシティブで相談が難しい局面が増えてきます。この時に地元の状況に通じていて、かつ当然ですが守秘義務のある地銀の担当者に相談することは大きなメリットがあります。
この「地元に即した心強い相談者」は住宅購入や教育のみならず、介護が終活など一生において相談することができるでしょう。イギリスの格言に「ゆりかごから墓場まで」という言葉がありますが、まさに1つの街に暮らしながらの一生を通じた相談相手を見つけることができます。そして、亡くなったあと発生するのが相続。子どもたちにおいても、相続の相談相手としての地銀の存在は頼もしい味方です。
地銀の活用において最も友好的な相談、それは相続です。それも現時点で自身が有している資産ではなく、親など自分が相続人としての立場で向き合う「実家の不動産物件」「親の現預金」「生前贈与」などのテーマです。
現在の日本では相続は亡くなったあとのライフイベントとして、親が生前のうちに積極的に対策に取り組むのは忌避される傾向にあります。週刊誌やワイドショーで相続の話題が取り上げられることも多く、親世代と子世代が一緒に住んでいて(常々会話する習慣がある)などは幾分柔軟になってきたものの、まだ「俺の目の黒いうちは相続の話などしない」という親世代が多いのも事実です。
ただ、相続をめぐる様々な法改正等が起こり、親世代も「誰かに相談するべきかな」と思い始めています。このときに「最初の」相談相手となるのが地元の金融機関の担当者です。住宅ローンの申込を受けた、家計管理の口座を作っているなどの関係から相続の相談を受け、実は込み入った部分まで対策が進んでいた、という話も多数あります。
ただこの話のネックは、ここに子世代が入っていないこと。相続の際に子世代が入ると、より円滑な相続相談が可能になります。いずれ被相続人になる親世代に限らず、子世代も一緒に相続相談に乗ることで「一家」としての相続対策が可能になります。
煩雑で法改正の多い相続相談ですが、先行している地銀は地元の税理士などと連携し始めています。親と一緒に行く形と、もし担当者を知っている場合は個別に連絡を取り、訪問する方法があります。
いくつかの観点から、地銀の担当者にライフプランを相談する意味を考えました。ライフイベントごとに相談し、信頼関係を築いていきましょう。相続においては世代間を超えた繋がりになることも期待できます。まさに銀行の担当者には、医療機関でいうところの「総合診療医」としての役割があると思います。ぜひ第一の相談相手として活用し、ライフプランにおける強い味方としていきましょう。
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