NISAを始めた人も始め損ねた人も。注目すべき新制度について

2020年01月02日・金融

資産運用をしたことがあるでしょうか。いま国は投資の経験者を増やそうと、さまざまな手を打っています。「貯蓄から投資へ」の掛け声のもと、2014年1月にスタートしたNISAこと少額投資非課税制度。代表的な一般NISAは、口座内の売買において発生した利益に対する課税(通常は20.315%)を5年間にわたって非課税とする税制優遇です。CMでよく耳にするNISAは専門的なものではなく、きわめて一般的なものです。

NISAは実績を積み上げ、運用から5年間を経て次の段階に向けて新制度をスタートさせようとしています。既にNISAを活用している人は変更点を把握して、より自身の資産運用を豊かなものに。そして始め損ねた人は、最低限掴んでおいた方がいい現行制度を把握して、注目の新制度を活用していきましょう。

1.種類がたくさんあるNISA。いま始めるならお勧めは何か?

本来のNISAの目的は、老後資産を確保するための税制優遇です。生活費もかかり、子育ても住宅ローンの返済も課せられるなかで、「老後資金も貯めましょう」といわれても無理なもの。そこで、老後資金となるお金を株式などへの投資で生み出すとともに、その収益にかかる税金を非課税にしましょう、という制度です。株式を売却するときの売却益や、配当に対してかかる配当金が非課税となります。ただ、ここまでの実績は老後資産の確保よりも短い期間で株式を売買し、その売却収益に本来かかる税金に非課税措置の恩恵を受ける、いわば「投資に慣れた人」が受け取るメリットの多いものでした。

NISAの現行制度と、今回の変更点について纏めます。

一般NISAは年間120万円までの買付が可能。2023年に終了予定でしたが、5年間延長されるとともに、制度の変更が発表されました。2024年からの新型NISAは、いままで縛りのなかったNISAの投資対象を限られた低リスク商品だけを購入できる「1階部分(20万円まで)」と、従来通りの投資商品を選べる「2階部分(102万円まで)」の年間122万円とするものです。1階部分に投資しないと、2階部分への投資が出来ないという制度に変わります。

NISAは活用している人が多いし、金融機関が窓口となっているので安心とは思っているがちょっと不安。。という方に対して、より損失が生じないための改定といえるでしょう。

より老後資金確保を目的に2018年から開始された「つみたてNISA」は、2037年までだった期間を5年間延長し、2042年までの運用が決まっています。これにより、いつ始めても20年の非課税措置を受けられるようになりました。一方で未成年を対象にした「ジュニアNISA」については予定通り2023年末に終了する運びとなりました。

いまNISAを始めるなら。まず2023年までに現行の制度でNISAを始めることをお勧めします。特に投資運用に抵抗感がない人は、低リスクが義務化される前なので希望通りの投資をすることができます。今まで仕事などが忙しく、なんとなくNISAを始めたかったけどきっかけが無かったという人にお勧め。また、積立NISAも制度の延長を待たずスタートすることをお勧めします。自分にとって少しでも長く運用して老後資金を確保すると同時に、長期投資を実現してリスクを軽減するよう心がけていきましょう。

現在のNISAと積立NISAはどちらかを選択しなければなりません。また現行のNISAが新型NISAにどのように移行するのかは分からない部分も多いので、敢えて新型NISAを待つ必要はないように思います。

2.NISAとほかの資産運用を兼ね合わせること

NISAの創設目的では短期の運用は推奨されていませんが、仮に1年間で120万円を運用し、株式の売却で10万円の収益を得たとします。売却益への税額は20.315%のため、10万円に対する税金は2万円強。頭を働かせて時勢を分析して得た収益なのに、2万円も取られてしまうのかという気分になることも多いでしょう。その20%が非課税となるNISAはとても効果的です。

ただ、売却益(および運用益)が非課税になるといっても、NISAのもとで購入した株の価格が著しく下がると、当然ながら大きな損失に繋がります。非課税だからといって、資産運用の原資すべてをNISAに充てるのはとても危険です。NISAの本来の目的である老後資金も大切な資金ではありますが、現在の家計の支出を株式投資で得ようとは考えないこと。

家計における基準は、日常生活費の「6カ月分」を預貯金などで確保してから、株式投資などリスクのある資産運用に充てること。よくFXや先物などのハイリスクな商品の際に適用されるアドバイスですが、ここにリスクの高低は関係ありません。また、NISAの非課税面を誤解して「リスクが低い」という声も耳にしますが、NISAのリスクは投資する運用商品によって異なるものであり、NISA自体にリスクを軽減するものではないことを認識しておきましょう。むしろ2024年からの新型NISAは、1階建ての義務化によってNISAの持つリスクを軽減したものといえるでしょう。

3.最初から思い切ったお金をかける必要はない資産運用

NISAを始めてみたい、というアドバイスを専門家として受けると、「まとまったお金が出来たので」という動機が目立ちます。預貯金が前述の目安6カ月分を超えてある程度確保できたとか、勤務先からボーナスを受け取ったとか。資産運用はそれだけ思い切りがないと始められない、まだまだ心理的なハードルが高いものなのでしょうか。

資産運用は、最初から思い切ったお金をかける必要はありません。500円貯金、ではありませんが、まず余ったお小遣いの1万円から始めるスタートでいいと思います。誰しも最初から負けない(損を生まない)投資などありませんので、最初は僅かな金額からチャレンジするようにしましょう。少ない金額で自身の投資スタイルなどが解ってきて、「慣れてきた」うえで、本格的にチャレンジすることをお勧めします。

今回終了が決まったジュニアNISAは、名前の通り若年層を投資に慣れさせることも目的としていましたが、もうひとつは「まずは少額でスタートする資産運用」の受け皿となるのではないかと期待していました。利用者の上積みから進まなかったことからジュニアNISAは終了してしまいますが、資産運用のスタートはNISAでしなければならない、という決まりはありません。貯蓄から投資へ。ここまでの実績を積み上げて新制度に移行するNISAも上手に活用しながら、資産運用という将来への準備を始めていくようにしましょう。

【この記事の著者】

株式会社FP-MYS 工藤 崇

株式会社FP-MYS 工藤 崇

FP-MYS代表取締役社長CEO。1982年北海道生まれ。相続×Fintechプラットフォーム「レタプラ」開発・運営。資格学校勤務後不動産会社、建築会社を経て2015年FP事務所を設立。1年後の2016年7月に法人化。多数の執筆のほか、Fintech関連のセミナー講師実績を有する現役の独立型ファイナンシャルプランナー(FP)として活動中。スタートアップとしてシードラウンドまでの資金調達完了済み。拠点は東京都中央区茅場町。

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