iDeCoとNISAの違いとは?ライフプランにおける「令和」の代表的な資産運用について

2019年12月03日・金融

メディアを賑わすニュースに、自分は将来、年金は貰えないのではないか。また定年まで会社にいても、充分な貯蓄が得られないのではないか。そんな不安を覚える人も多いでしょう。公的年金の将来像に何が正しいのかはともかく、その対策となるものが、iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)とNISA(ニーサ、少額投資非課税制度)です。貯蓄から投資へという新しい流れの代表格であり、まさに令和の資産運用。ただ、この両者はまったく性格の異なるものでもあります。

1.今更聞けないiDeCoとNISA

まず両者の特徴をおさえましょう。まずiDeCoとは、確定拠出年金制度のこと。会社に勤めていると、毎月の給料から厚生年金保険料が天引きされています。この年金には年金制度と基礎となる国民年金保険料が含まれており、自営業など厚生年金の対象外の人はこの国民年金のみを納付することになります。

定額である国民年金に対して、厚生年金は給料額により保険料が異なります。つまり勤務先の待遇によって、老後の資金となる公的年金額が変わるということ。たとえば50歳になって収入は上がったものの、20代から納めている年金支給額をその時点から充実したものにするのはなかなか難しいもの。そこで「プラスアルファ」として活用できるものが確定拠出年金です。

「確定拠出」という名称がまさにこの年金制度の特徴です。毎月決まった金額を年金保険料とします。公的年金は拠出額によって将来の保障額が決まる一方、確定拠出は「運用」をします。運用結果によって拠出額が大幅に上昇することもあれば、元本を割ってしまう可能性もあります。まさに公的管理ではなく、自己管理の年金制度といえるでしょう。この制度のうち、勤務先の企業ごとに加入する企業型ではなく、個人ごとに加入する個人型確定拠出値金の愛称がiDeCoです。

一方のNISAはそもそも老後資金対策ではありません。現時点の運用手段のひとつとして所定の方法にて投資をすると、その投資額が「非課税」となる制度です。投資の金額によって運用額の低くローリスクのジュニアNISAや、積立形式の積立NISAがあります。積立NISAは当初の投資期間が2037年までと定められていましたが、2020年の税制改正によって20年間の投資期間を確保する方向で調整に入りました。

このように、iDeCoとNISAは目的も異なる、まったく別のものです。積立NISAは老後資金確保の性格がありますが、ライフプランにおいては自分自身に、そして家計に何が必要なのかを考えることが大切です。

2.ライフプランにとって「どちらが必要なのか」を考える

そこで大切なのはiDeCoとNISA、ライフプラン上どちらが必要なのかを分析することです。両者とも現在の収入から掛け金を拠出することに変わりはありません。iDeCoは老後資金のため、その拠出金が運用のうえ家計に戻ってくるのは基本的に(途中解約しない限り)数十年も先の話。それまでに家計に過不足が発生しても、iDeCoから救済されるものではありません。

一方でNISAは掛金が非課税となり、また拠出したお金は「近い将来」に活用することが目的です。そのための非課税は魅力的なものですが、拠出する家計管理が求められる一方で、「決して老後資金など、長期的なライフプランを安定させる資金にはならないのではないか」という声が長らくありました。そのために制度設計されたのが積立NISAであり、その期間は上限40年。また既存の銀行口座で開設するため、ATM手数料などが無料となるサービスを打ち出している金融機関もあります。

現在40歳として、さまざまな要因があり公的年金の納付履歴に「未納期間」のある場合、かつ追納などのフォローが既に出来ない場合、かつ現在のライフプラン設計にめいっぱいである一方、可能であれば老後資金は少しでも目途をつけておきたいという人はiDeCoがお勧め。対して老後資金よりも毎年のライフプランこそが不安で、非課税措置に魅力を感じるという方は(元来の)NISAがお勧め。積立NISAとiDeCoの比較は、サービスを見て「これだったら続けられそうかな」と思えた方をお勧めします。目前の非課税措置があるとはいえ、どちらも長期的に続けられなければ本来の意味がないことは変わりません。

3.両者比較ではなく、他の運用方法も同じ土俵で考える

ここで注意すべきなのは、資産運用はiDeCoとNISAの「二者択一」ではないということです。土地所有者(地主)を中心に続けられてきた上物建築による不動産資産運用も、日本人にとって身近な生命保険運用も老後資金対策です。NISAと同じように非課税措置や税金減免などさまざまな「特例」が設定されています。

そして何よりも、「現預金を貯めること」と比べて何が有利なのかを考えなくてはなりません。日本人は昔から「投資が苦手」といわれてきました。いまある元本を元手にどの資産をどのタイミングでどれだけ所有しているか、そのための売買をどのタイミングで行うかの判断(資産ポートフォリオの構築)はこれまで教育現場で教えられる機会もなく、また労働をせずに運用益を得ることは忌避される風潮がありました(最近の資産運用市場を見ていると、運用も立派な労働だとは思いますが、価値観の変遷ということでしょうか)。

資産運用の教育を受けているからといって、もちろん運用の成功可能性が高まるというものではありません。ただ、資産運用と切り離せない位置づけにある損失リスク、ハイリターンに付帯するハイリスクの関係性などは、しっかり学んでから取り組みたいもの。それをおざなりにしたうえで非課税のメリットや「運用益でこれだけ老後が豊かになります」という話しをするのは危険なので、これまでのように現預金の貯蓄とは何が違うのか、という情報を集めていくようにしましょう。それは運用を行うのは当事者ではなく、たとえば子どもたちが社会人になってiDeCoを始める状況であったり、(それまで資産運用など触ったこともないような)両親が定年を迎えてNISAを始めたりするような局面でも同様です。

実際にiDeCoを行って発生する最大の問題点は、いざ運用の局面になったときに、「周囲にいわれて半ば義務感で始めてみたけれど、運用ってどうやってやるんだ。自分が運用銘柄を決めるのか」という初歩的な質問が多いようです。iDeCoとNISA、とてもお得で魅力的な制度ですが、そういう意味では生活の基盤まで浸透するには、まだ時間とレクチャーの機会が必要であるように思えます。「令和」の代表的な資産運用に成長するまで、見守っていきたいところです。

【この記事の著者】

株式会社FP-MYS 工藤 崇

株式会社FP-MYS 工藤 崇

FP-MYS代表取締役社長CEO。1982年北海道生まれ。相続×Fintechプラットフォーム「レタプラ」開発・運営。資格学校勤務後不動産会社、建築会社を経て2015年FP事務所を設立。1年後の2016年7月に法人化。多数の執筆のほか、Fintech関連のセミナー講師実績を有する現役の独立型ファイナンシャルプランナー(FP)として活動中。スタートアップとしてシードラウンドまでの資金調達完了済み。拠点は東京都中央区茅場町。

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