ライフプランと個人資産の管理アプリ・フォーチュンポケット
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「いま家を買うべきか」という相談をよく受けます。不動産の価格が下がるのではないか。前例のない状況変化によって良い物件が出てくるタイミングではないのかという前提での相談です。その一方で、家を買うというのは「人生で最大の買い物」のため、失敗のできないライフイベントでもあります。そして、家を買うときに欠かせないのが住宅ローン。実生活レベルにもコロナ渦の影響が続き、ライフプランが作りにくいなかで、住宅ローンをどのように考えるべきでしょうか。
自宅を買うことは、大きな支出がともないます。どうしても「毎月いくら返済するのか」というランニングコストに意識が向きますが、同様に購入時に一括してかかるイニシャルコストも注視すべきです。
<家を購入するときの主な支出(コスト)>
この①②を合わせた金額が住宅購入費用となるものですが、所定の条件により住宅ローン返済額の一部が節税効果を生む施策があります。これが「住宅ローン減税」です。
住宅ローン減税は、住宅ローンを借り入れて住宅を購入する際に、取得者の金利負担軽減を目的とした制度です。毎年末の住宅ローン残高か住宅の取得対価のうち、いずれか少ない方の金額の1%が10年間にわたり所得税から控除されます。
※1 新築・未使用の長期優良住宅、低炭素住宅の場合は5000万円
住宅ローン減税は、入居した年の収入申告時、つまり翌年の確定申告時に、税務署に必要書類を提出します。これは普段確定申告を行っている自営業者も、会社が年末調整という形で代理申告している給与所得者も同様です。ただ、2年目以降も引き続き確定申告が必要なのは自営業者のみで、給与所得者は勤め先にローンの残高証明書を提出することで、年末調整で控除を受けることができます。
<主な添付書類>
住民票の写し・残高証明書・登記事項証明書・売買契約書・源泉徴収票など
上記の表を確認すると、令和2年(2020年)いっぱいは住宅ローン減税を活用することができます。そのあとは消費税10%特例による控除率拡大期間は終了するものの、通常のローン減税制度自体は令和3年(2021年)12月まで適用されることになります。
コロナウイルス拡大による経済損失を埋めるため、また(終生賃貸希望者も増えているとはいえ)日本はまだまだ持ち家信仰が強いため、この住宅ローン減税制度も延長される公算が高いでしょう。ライフプランを管理するうえで、住宅ローンはとても心強い味方です。制度が続くなかで家を買うニーズのある人は、ぜひ積極的に活用するようにしましょう。
とはいえ、コロナウイルスで勤労状況が大きく変わった人も多いでしょう。先の見えない、いわば「ライフプランが作りにくい」なかで、住宅ローンをどのように考えるべきなのでしょうか。
住宅ローンは1960年代より一般化した「ひとつの会社に新卒で入社し、定年まで勤め続ける」ライフスタイルに合致した制度です(公的年金もそうです)。最近は転職が当たり前となり、独立や起業なども一般化してきました。収入は変わらなくても、今回のようなコロナ禍で安定性が期待できなくなるのは、ひとつの側面といえるでしょう。
だからこそ、住宅購入時にどれくらいの金利で、どれくらいの期間を以って返済するのか。いわゆる「返済シミュレーション」が求められています。たとえばコロナで当面の収入に陰りが見えたとき、住宅ローン借り換えなどの方法によって当面の猶予を得るのは大切なことです。ただ、そのときに返済完了見込が何歳になったのか。そのときの収入はどうなっていると予想されるのかを想定することです。住宅ローンはあくまで「負債」であることを忘れないようにしましょう。購入後の数年間だけではなく、例えるなら20年後を見て返済計画を組み立てることが大切です。
ここまでお伝えしたように、住宅ローンを軸としたライフプランは、コロナ禍を始めとした不確定要素の増加で作りづらくなっています。住宅を買って返済を開始して、10年後に今の状況がどうなっているか断言できない、という人も多いでしょう。だからこそ早めに、現状をプロフェッショナルの眼で分析してもらう、専門家に相談することが大切です。
このとき、住宅ローンの専門家として相談できる代表格はFP(ファイナンシャルプランナー)です。この資格の専門範囲は幅広いため、ホームページや検索サイトで住宅事情に近い、実績豊富な人を選ぶようにしましょう。また、住宅ローン相談を中心にした会社や、インターネットを使って住宅ローンの専門家と相談者を繋ぐサービスも知られてきています。
不透明な時代だからこそ、どうにかなるさと根拠なく楽観的にならず、適切な専門家の助言のもとでライフプランを組み立てること。昨今の事情を踏まえたうえでの住宅ローンの活用は平時よりもより慎重に、取り組んでいくようにしましょう。もちろん、このようなタイミングだからこそ不動産の価格に下落傾向が見られたり、物件を探していた地域で思わぬ掘り出し物件が見つけられたりすることも考えられます。特に中古(築浅だと新築物件とさほどクオリティが変わらないという場合も)も視野に入れている人は期待できるのではないでしょうか。経験豊富な専門家に対し、何が不透明なのか、何が不安なのかを伝え、何十年と続く住宅ローンへ向けて信頼できるパートナーを築いていきましょう。
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