住宅を「買ったあと」の話。人生で一番高価な資産を守るためにすべきこと

2020年02月04日・住宅

目次

    人生で最も高い買い物といわれる住宅購入。住まいやマネー関連の記事を読んでいると、マンションなど住宅を購入する「前」のお金の話は数多く取り上げられています。イニシャルコストや税金の話です。ただ、もうひとつ注意すべきは「購入したあとどれだけのお金がかかるのか」というイニシャルコストの視点。継続的に家賃支出がある賃貸に比べて、住宅購入はランニングコストがかからない印象がありますが、果たしてそうなのでしょうか。

    1.住宅購入後、必要になる支出を知ろう

    まずは住宅購入後、必要になる支出を顕在化していきましょう。戸建て・マンションそれぞれ必要な支出と、共通で負担になる支出に分けていきます。

    ①マンションの購入後に必要な支出

    マンションの最大の特徴は「区分所有」であること。購入した自宅の玄関に行き着くまで、敷地やエレベータ、外廊下といった「共有部分」を通ります。この管理費を負担するのは区分所有者の役目です。

    管理費と修繕積立金

    広い意味での管理費は物件の価値を維持するためのお金ですが、細かく分けると共用廊下やゴミ置き場の清掃といった日常の管理費のほか、何年かに一度の外壁補修や防水処理といった大規模修繕のお金を「修繕積立金」といいます。マンションの区分所有では、両者別々に支払い義務がある物件がほとんどです。物件によりますが、合わせて2-3万円が相場です。この金額を管理するのは管理組合という入居者の有志で構成される組合です。管理費の使い方のほか、住民が生活していくうえでのトラブル対応、管理会社との折衝、築年数の古い建物では建て替え計画も幅広く対応します。数年前に話題になった分譲物件を民泊に利用して旅行者を泊めさせる問題が起こったときは、各物件の管理組合が中心となって反対声明を出しました。海岸沿いの豪勢なタワーマンションなどは物件価格のほか、維持管理もお金がかかるため、管理費に高価になる傾向があります。

    駐車場代

    区分所有敷地内にはほとんどの場合、自家用車を止めるスペースはありません。別途駐車場代が必要になります。同じ車両1台を止めるスペースでも、東京・大阪などの都市圏と地方都市では月額料金で2-3万円の差が出ることも。

    ②戸建ての購入後に必要な支出

    戸建てを購入した場合は、管理費や修繕積立金は必要ありません。敷地内を管理するのはすべて自分の一家のみなので管理組合もなく、仮に敷地内に自家用車を止めるスペースがある場合は駐車場代も必要ありません。

    ただ、それは「見えていないだけ」ともいえます。戸建ての外壁に修理が必要な部分が見つかれば自分たちで業者を手配して、もちろん修理費も負担しなければなりません。管理会社がいない分、日常管理のお金はかからないけれど労力がかかり、近所付き合いのトラブルも管理組合が仲介するより増える傾向にあります(もちろんマンションと違い、戸建ては壁ひとつで隣世帯と繋がっていないので、騒音などの問題は少ないようです)。

    今回のテーマである「住宅を買ったあとの話」で考えると、戸建てを購入した場合はランニングコストがどれだけかかるかを顕在化(見えるようにする)べきです。ただ、なかなか物件購入当初はわかりません。そこでお勧めなのは、同じように戸建てを買った職場の仲間や先輩に聞いてみること。もし両親が戸建てに購入していた場合は、両親に聞いてみるようにしましょう(戸建てのランニングコストは、数十年前とさほど相違点はないと思います)。気をつけたいのは、物件購入をした不動産仲介業者に聞くこと。「ランニングコストを減らしたくて戸建てにしている」ニーズを知っているので、正確な数字を教えたくないという業者も(もちろんプロとして教えるべきだとは思いますが)。購入してから聞く形や、客観性を保てるファイナンシャルプランナー(FP)などに聞くのもひとつの方法です。

    戸建ての購入後は、たとえば独自の銀行口座を作って、管理表の資産を別枠で確保している家庭もいるようです。戸建ての購入は現役世代。日常の生活費も教育費もと、次々と支出が増えるなかで、包括的な「預貯金」としてランニングコストを管理するのは難しいことからの工夫といえるでしょう。

    2.住宅購入後のランニングコストは世帯タイプによって変わるのか

    さて、住宅は購入時から何十年、世帯によっては亡くなるときもその物件で迎える「終の棲家」として、長くお付き合いすることになるでしょう。一般的な家庭のイメージを当てはめても、夫婦ふたりから子どもの年少期、ファミリーとしての家族、そして子どもが独立後に夫婦ふたりに戻る老後生活において、ランニングコストは変わってくるのかという視点です。

    結論から記載すると、世帯の状況によってランニングコストは変わりません。マンションの管理費等も世帯タイプによって負担額が変わるものではないですし、戸建ての顕在化していないコストも同様です。

    ただひとつ注目すべきは、「終の棲家にするかどうか」という点です。子どもが独立して両親が70歳を迎え、「(日本人の平均寿命から考えると)あと20年かな…」という段階になったときに、大金を投じてリフォームをするのか、住宅を売却して二人用の賃貸物件に住み替えるのかという判断が出てきます。もちろん売却時にリフォームをしていた方が売却値が高いので、売却時に回収するという要素はありますが、自分たちが生活するためのリフォームと、不動産会社が次の客付けをするためのリフォームは同じ工事とは限りません。ならば自分たちではリフォームをせず、常に「売却したときにいくらになりそうか」という視点を持ちながら、賃貸に移るタイミングを見計らっていく、というスタンスが、結果的にランニングコストを抑えることにも繋がります。

    そして付加的な事実ですが、早めに居住用物件を手放すことは「相続」についても大きな違いがあります。仮に子どもが独立して遠方に住んでいた場合でも、どちらかは実家を引き継がなければなりません。先に賃貸に移るのが70歳として、相続は親が亡くなった90歳の時点とします。この20年間で売却値は当然下がることに加え、建物もより老朽化しています。いずれ訪れる相続を見据えた売却が遅れると、結果的にランニングコストがかかってしまったという結末も。また、築年数が進みすぎて、子どもたちのいずれも「相続したくない」といい、争いの種になってしまうことも最近は特に増えています。結果物件は空き家になり、解体費用を負担することになっては、コストは更に上がってしまうでしょう。

    人生で一番高価な資産を守るためには、家族の状況と「これから」を見据えたライフプランが大事です。家族で協力して先を見ながら、最適の方法を考えていきましょう。

    【この記事の著者】

    株式会社FP-MYS 工藤 崇

    株式会社FP-MYS 工藤 崇

    FP-MYS代表取締役社長CEO。1982年北海道生まれ。相続×Fintechプラットフォーム「レタプラ」開発・運営。資格学校勤務後不動産会社、建築会社を経て2015年FP事務所を設立。1年後の2016年7月に法人化。多数の執筆のほか、Fintech関連のセミナー講師実績を有する現役の独立型ファイナンシャルプランナー(FP)として活動中。スタートアップとしてシードラウンドまでの資金調達完了済み。拠点は東京都中央区茅場町。

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