「コロナショック × 不動産」を予測する!

2020年03月02日・コラム
No40_コロナウィルス×不動産

目次

    当初、「東京オリンピック開催後に予測される不動産市況の変化」という記事の準備をしていたのですが、2020年2月中旬からの2週間で日本の、そして世界の情勢は大きく変わりました。記事執筆時の2月28日、日本時間の夜明け未明にはNYダウで1100ドルの下落、時間差で開いた日経平均株価も1000円以上の下落と、メディアには「リーマンショックの再来」「世界恐慌の再来」といった過激な言葉まで踊っています。被害は特定の国ではなく、全世界に広がっています。コロナウイルスの蔓延による経済ショック、いわゆる「コロナショック」。中小企業を始めとしたビジネスも、まさか年度末に短期間でこれだけの情勢変化が起きるのかと驚いているところも多いです。「コロナ倒産」も危惧されています。では、このコロナショックにより不動産領域は、どのようなことが想定されるのでしょうか。いくつかの仮説に分けて推論します。

    1.不動産取引はproptechでどれだけ進んだか

    No40_コロナウィルス×不動産

    今回の経済ショックの大きな特徴は、感染症予防により、人と人との接触が制限(を推奨)されています。不動産取引は売買にしろ賃貸にしろ、対面が前提です。それは契約のみならず、内覧などの前提段階や、そもそも客付の前に行われる不動産会社同士の情報交換でも同じです。まず、不動産取引の肝ともされる、情報の流通化が著しい損害を受けるのではないかと考えます。もちろんインターネットによって、不動産取引も大きく変わりました。いまや一部の重説(重要事項説明書)もオンラインでやり取りができる時代。ただ、特に両立奈不動産情報を交換する信頼感を担保するものは、従来の人と人のつながりです。

    今回のコロナショックではこの部分が著しく制限されているので、いま発生しているのはまず「不動産情報の流通にストップがかかり始めている」ことがいえるでしょう。特に不動産売却は相続や当面の資金繰りなど、スピードが求められる媒介も多いです。レインズ掲載やマイソク(物件のPR資料)の作成は進んでいても、それを人対人のやり取りを介して、エンドユーザーまで届ける方法がないというのは多大な影響をもたらします。

    賃貸の場合は相続などのバックグラウンドはないものの、1年のなかで最も引越しが活況になるのが2月―3月にかけて。4月の新年度以降に向けての引越しニーズでした。ただ、今回は各事業会社の経済活動も大きな損害を見込んでいるため、引越しをともなう人材の移動が例年通り行われる保証はありません。特に損害の予想されるインバウンド関連や製造業、イベント関連業などは、停滞状態から(現在の予想通り)抜けたとしても、通常営業に戻るだけで時間を費やします。不動産会社自体の人材移動も、大きな影響を受けることでしょう。リフォームやイノベーションの領域も、製造業が著しい損害を受けているため、原材料調達にどのような影響があるかはこれから判明してくるでしょう。

    一方で、プラスの影響も予測され始めています。今回のコロナショックでは、ここ数年proptechの題名で注目されている、インターネットを使った不動産取引がどうなるかという点でした。こういう非常事態はイノベーション性の高いアイテムがタイミング良く投下され、耳目を集めていくもの。ただ、ベンチャーの世界で注目されているアイテムも、まだ実際に現場には浸透していない印象を、今のところは受けます。一方でZOOMなどのリモート会議ツールを活用し、平時と変わらないスピード感で情報交換が進んでいるという事例も。少しずつ現状への危機感から、あらたなツールの導入が進み、イノベーションを起こしていくことに期待します。

    2.時価評価に著しい影響も

    No40_コロナウィルス×不動産

    次に不動産取引の軸となる、不動産価格はどうでしょうか。率直にいって、現状はまったく読めないというところです。固定資産評価額や相続税評価額(路線価)など定期的に発表されているものは、次の更新まで「平時の数字」を継続すると思います。まず影響を受けるのは刻々と市況を受けて変わる不動産の時価評価です。

    時価評価は実際の取引実績が積み重なり、近隣で行われた取引を踏まえて相場が決まっていきます。国の算出する公示価格や固定資産評価額と、大きく乖離することも珍しくありません。特に世の中に不安が蔓延している今日の状況では、不安感から著しく値が下げられる可能性はあります。また意外なことですが、資産ポートフォリオが再評価されるなかで、「安心できるのは不動産だ」と上向きになる可能性もあります。

    特に当初の記事の予定にあったように、今年2020年は待ちに待った東京オリンピックがあります。会場建築やホテルや旅館などの観光施設、五輪を見据えて建築された様々な不動産は揚々と7月の本番を迎えることでしょう(それまでにコロナウイルスの猛威が収まってくれることを切に願うばかりです)。ただ、それは二律背反のもので、盛り上がれば盛り上がるほどにパラリンピック終了後の「反動」が怖いのも事実。もちろん、時勢は先読みをするものなので、周囲が「東京オリンピック後は不動産価格が下がる」と口を揃えている雰囲気など既に織り込み済み、という可能性もあります。

    3.大打撃が想定される民泊

    No40_コロナウィルス×不動産

    ただ、不動産のなかでも「民泊」は正面からコロナショックを受けてしまった印象があります。来日外国人客を「私邸」に招き入れるというビジネスモデルは感染症への恐怖から、泊まる方も「泊まってもらう方」も慎重になるのではないでしょうか。民泊自体はこれまでの宿泊業がカバーできなかった部分を補完する素晴らしい取り組みだと思います。ただ、沈静化後は少し形を変え、近年制定された新法への対策もふまえ、改めて世の中に定着していくのではないかと予想しています。

    まずはコロナウイルス感染症によって亡くなった方のお悔やみを申し上げるとともに、罹患された方の一日でも早い回復をお祈りします。そして、今回のコロナショックにより取掛るビジネスや生活スタイルなどの日常生活に不安が増しているのも事実。資産運用の局面から見ても、毎日数百円規模で下がる株価が不安感を助長させています。ただ、前述したproptechのように、だからこそ世の中を変えるサービスが登場する布石もあります。よく日本は大きなベンチャー企業が育たないと言われ続けてきましたが、今回の大混乱を受けて顕在化したニーズをサービスに転化したところは、必ず市場の支持を得ることでしょう。それを期待して、この記事をまとめたいと思います。まずは手を取り合って、この困難な状況を乗り越えていきましょう。そして待ちにまったオリンピックを、迎えたいものですね。

    【この記事の著者】

    株式会社FP-MYS 工藤 崇

    株式会社FP-MYS 工藤 崇

    FP-MYS代表取締役社長CEO。1982年北海道生まれ。相続×Fintechプラットフォーム「レタプラ」開発・運営。資格学校勤務後不動産会社、建築会社を経て2015年FP事務所を設立。1年後の2016年7月に法人化。多数の執筆のほか、Fintech関連のセミナー講師実績を有する現役の独立型ファイナンシャルプランナー(FP)として活動中。スタートアップとしてシードラウンドまでの資金調達完了済み。拠点は東京都中央区茅場町。

    LettePla:https://letteplabiz.com/

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